【DX】デジタルを用いた処理委託先監査 〜環境省通知〜(2024.01.07)
環境省が 2023.03.31 に出された「デジタル原則を踏まえた廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の適用に係る解釈の明確化等について」の通知について、廃棄物処理法の解釈を一部明確化し、デジタル化の促進を図る通知となっておりますので、ご紹介いたします。
この通知により、実際の委託先監査の社内ルールを必要に応じて改訂されることも検討しながら、ご確認いただければと思います。
🔳 Webサイト
https://www.env.go.jp/content/000126058.pdf
デジタル原則を踏まえた廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の適用に係る解釈の明確化等について(通知)
① コンテンツ
1.排出事業者の処理状況の確認について
2.報告及び立入検査について
3.技術管理者及び廃棄物処理責任者の職務の実施について
4.許可の申請等について
5.書類の閲覧・縦覧等について
② ポイント解説
コンテンツごとにポイントを解説いたします。
1.排出事業者の処理状況の確認(委託先監査)について
◾️ ざっくり言うと
✅ 廃棄物の処理委託が継続して行われており、その処理状況に問題がない場合、オンライン監査も認められる
◾️ 解説
まずは、通知の当該部分を以下に記しましたので、アンダーラインの部分を中心にお読みいただければと思います。
法第3条第1項及び第 12 条第7項において、排出事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならず、その産業廃棄物の処理を他人に委託する場合には、処理の状況に関する確認を行い、最終処分が終了するまでの一連の処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならないこととされている。その処理の状況に関する確認にあたっては、処理を委託した産業廃棄物の保管状況や実際の処理工程等について処理業者とコミュニケーションをとりながら確認を行うことや、公開されている情報について不明な点や疑問点があった場合には処理業者に回答を求めることなど、法に基づき適正な処理がなされているかを実質的に確認することが重要である。
当該確認の方法については、廃棄物の処理が適正に行われていることを実質的に確認することができると認められるのであれば、実地に赴いて確認することに限られず、デジタル技術を活用して確認することも可能である。デジタル技術を活用した確認の方法としては、例えば、電磁的記録による許可内容や帳簿等の情報の確認、オンライン会議システム等を用いた処理施設の稼働状況や周辺環境の確認、情報通信機器を使用して産業廃棄物処理業者への管理体制の聴取を行うことなどが考えられる。
また、排出事業者責任の重要性に対する認識や排出事業者と処理業者との直接の関係性が希薄になることがないと認められる場合であって、上記のとおり廃棄物の適正な処理について実質的な確認が可能である場合は、同一の産業廃棄物処理業者に処理を委託している複数の排出事業者が共同してデジタル技術の活用により廃棄物の処理の状況を確認することは妨げられるものではない。
このように、これまでは実地監査が努力義務でありましたので、監査を行うか否かはそれぞれの会社ごとの判断があったものと思われますが、今後は(継続して処理委託が続く場合には)より監査の促進が図られるようなオンライン等での監査も可能となります。
しかしながら、処理業者はとかく見せたくないものは見せないようにしがちになるため、オンラインで監査を行う場合には、処理場内をできるだけ広範囲に写すようにリクエストしたいものですね。
ただし、地方自治体の条例、要綱がどのように規定されているか注意が必要です。
具体的には、相当数の自治体で委託先監査を義務付けているので。
(解説)
自治体の条例等のいわゆる”上乗せ規定”で、法律で規定されている以上の義務等を課すことができる。
具体的には、廃棄物処理法では委託先監査は努力義務であるものの、自治体の条例等において、委託先監査を義務化することが可能。
ただ、そのような自治体の管轄であってもこのオンラインの流れに乗ったやるべき監査をしっかりと行なっていれば良いような気もしますがね。。
2.報告及び立入検査について
◾️ ざっくり言うと
✅ 行政の立入検査等も一部オンライン会議などでチェックすることを認める
3.技術管理者及び廃棄物処理責任者の職務の実施について
◾️ ざっくり言うと
✅ 管理者を常駐させなくても、遠隔でチェックすることを認める
4.許可の申請等について
◾️ ざっくり言うと
✅ 許可申請書を、メール等で提出することを認める
5.書類の閲覧・縦覧等について
◾️ ざっくり言うと
✅ 業許可申請時に一般に縦覧される申請書などをWeb公開すること認める
さて、皆様の会社での「DX」の進捗状況はいかがでしょうか?
この世の中の潮流の「DX」に乗っている会社もあれば、少し出遅れ感のある会社も多くあるのではないでしょうか。
ここで気をつけておかないといけないのが、「DXを推進していますよ!」という会社でも実際には、アナログ業務を IT 化しただけのデジタイゼーションどまりになっていないかも気をつけて客観的に見たいですね。
Step ①「デジタイゼーション」 → Step ②「デジタライゼーション」 → Step ③「DX」
なので、いまどこにいるか確認していきましょう!
(総務省)
https://www.soumu.go.jp/hakusho-kids/use/live/live_06.html
また、廃棄物処理業者選びの際にも、その会社の中でのDXの取り組み度合いも、今後は選定の基準に重きを置いてもよろしいかもしれません。
坂本裕尚